嵐を呼ぶ山田

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「頼まれている事があるんです……お願いですから、そこを退いてください」 ぎゅっ!と目を瞑りながら懇願すると、 「……はぁ」 正面から、溜め息が聞こえてきた。それも、一つではない。呆れの色を滲ませた溜め息が、三つも聞こえてきたのだ。 「何を頼まれてるんだよ?」 「……え?」 溜め息の後には、少しイラついたような棘のある声で訊ねられる。思わず顔を上げて目の前にいる三人に疑問の声を漏らせば、また盛大に溜め息を吐かれた。 「別にさぁ、そのタノミゴトを必ず一人でやれ、とか言われてるわけじゃねーなら、俺達も手伝っていいんだろ?」 メフィストの言わんとすることを悟り、俺は即座に視線を教室の隅、窓際へと向けた。 そこには、訝しげにこちらを見ている兎丸がいる。 その表情は、メフィスト達に対するあからさまな不快感と警戒感を表していて……
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