嵐を呼ぶ山田

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少し離れた場所で、てへぺろっと舌を出しているフィリアへ非難の目を向けるのも束の間の事。 「がは……っ!!」 全力のタックルをもろに受けた俺は、物凄い勢いで吹き飛んだ。 一般人なら対処の出来ないスピードで空を滑る。 ―――――ぶつかるっ!? 俺自身は受け身が取れるので壁や床に衝突しても大したダメージはないが、他の生徒は違う。もしも無防備なところに俺がぶつかってしまえば、大怪我を負わせてしまう可能性もあるのだ。 心中ではそう考えながらも、タックルの衝撃に固まってしまった俺の身体は動こうとしない。 ―――――マズイッ!! 生徒、もしくは壁や床に激突するのを覚悟し、思わずぎゅっと目を瞑った次の瞬間。 「おい、流!危ねぇじゃねーか!」 「……え?あ、ふえ?」 訪れたのは予想していた痛みを伴う衝突ではなく、温かく包まれるような衝突。背中全面、それと腹の方が温かい。 先程の声からして、恐らく俺の背後にはメフィストがおり、俺はメフィストに抱き留められている―――――一といった状態なのだろう。
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