嵐を呼ぶ山田

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「……すみません、ありがとうございます」 「ちっ!もう元に戻りやがったか……」 隠しもせずに舌打ちをし、メフィストは悔しさからか俺を抱く腕に少し力を込めた。く、苦しい…… ―――――それにしても、たしかだがメフィストは俺が吹き飛ばされる方向とは正反対の位置にいたはずなのだが…… 心中で疑問を吐露し、表情にはおくびも出さないようセーブする。先程は動揺のあまり情けない声をあげてしまったが、もう――――― 「うわぁ!?」 俺は、情けない悲鳴をあげた。悲鳴カムバックするな!カムバックだめ、絶対!!ノーカムバック!! ただ今、ぐるりと回った視界に混乱中。背中と膝裏に温もりがあり、天井とメフィストの整った顔が見える。 そこまで状況把握し、俺は瞠目した。嫌な汗が頬を伝う。はっ!こ、これは、もしや……! 「軽いな……祐也、もっと食べたらどうだ?てかさ、思ってたんだけど前世よりも縮んで」 「シャラップ!!」 余計なことを口走るメフィストを叫んで黙らせる。今はそんなことを気にしている場合ではない……というか、そこは気にするな!!
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