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ギリッと歯噛みする。
とにかく、フィリアを黙らせなくては……だが、どうすればいい?
いくら試行錯誤しても、一向に天啓は降りてこない。
俺は、無力だ……。
がっくりと項垂れたその時、
「フィーリア」
メフィストの嬉々とした声が聞こえてきた。
メフィストめ……全力でこの状況を楽しんでいるな!?
俺が恨みがましくメフィストを睨み付けた、その瞬間、
「……わりぃな、ちょっと我慢してくれよ」
「……は?」
耳元で小さく囁かれたかと思うと、頬に柔らかな感触が。
―――――え、これは、まさか……?
すぐに離れたその感触。間違いない……これは……!
「めっ、メフィストぉぉぉぉ!!?」
叫びながらばっと手で頬を抑え、メフィストに非難の目を向ける。こいつ、フィリアを更に興奮させる為に、き、キスしやがった!!
「ん?なんだ?」
ニヤニヤと笑うメフィスト。明らかに楽しんでいるその態度に俺は唖然とする。
「眼鏡が邪魔だな……」
「調子に乗るな!」
そう言い取ろうと伸ばしてきた手を叩き落としながら、ここでふと疑問。
―――――フィリアが、黙っている?
そう、先程からフィリアの歓声が聞こえてこないのだ。不審に思い、視線をフィリアの方へと向ければ……
「ふぃ、フィリア?」
「…………」
そこには、明らかに不機嫌なのが見てとれるフィリアがいた。
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