嵐を呼ぶ山田

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「…………」 無言のまま、ザッザッザッ!と物凄い勢いで迫り来るフィリア。その姿は、さながら某アニメ映画に登場するビームを発射する巨大な兵のようだ。駄目だ、腐ってやがる!早すぎたんだ!! 「ひいっ!?」 「おっ」 フィリアの迫力に思わず小さく悲鳴をあげ、メフィストのシャツを掴む。メフィストがニヤニヤと嫌な笑みを浮かべているが、そんなものは気にしていられるか! ついに目の前まで来たフィリアは、俺へと手を伸ばし、そして…… 「えいっ!」 「ん?」 「え、うわぁ!?」 気合いの声と共に、俺をメフィストから引き剥がした。更には、 「ゆー君にちゅーしちゃだめっ!」 「うあああ!?」 俺を、抱え込むようにしてぎゅっと抱き締めたのだ。ブレザー越しにとはいえ、ふくよかな胸が顔に当たり、呼吸が止まった。ふわりといいにおいが俺の身体を包む。甘く、脳まで蕩けてしまいそうな香り……フィリアの匂いにくらりと目眩がした。
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