嵐を呼ぶ山田

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「は、放してくれ……」 弱々しくだが、じたばたともがきフィリアの腕の中から脱出しようと試みる。だが、フィリアは放すどころか、その逆、更に強く俺を抱き締めた。 「いーやっ!もうゆー君を放さないんだからっ!!」 フィリアが俺を……放さない? 「ふぃりあ……くぁwせdrftgyふじこlp」 「ちょ、祐也!?」 例えところ構わず抱き着いてくる姉がいようが、姉は姉。異性に免疫のない俺が、少女……しかも好意を抱いている子にこんな行動をされれば、キャパオーバーになるのは分かりきっていることだ。 「きゅう……」 混乱し、精神が極限まで追い詰められた俺は、顔を真っ赤にし、フィリアの腕の中で気を失ってしまった。 ―――――嗚呼、願わくは目を覚ました時には誰もいないように……。
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