嵐を呼ぶ山田

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意識が浮上する感覚。天上の光に照らされ、輪郭をなぞられ、暗闇の底からゆっくりと引きずり出される、感覚。 ―――――ああ、そういえば、あの時もこんな感覚だったな……。 体感時間にして十五年以上も前のことを、ぼんやりと想起すれば、胸をざわつかせ始める感情が現れる。それは、 ―――――皆には、悪いことをしてしまったな……。 罪悪感。 俺は、この十五年感、ずっと罪悪感を抱えて生きてきた。 自己満足かもしれない。意味などないのかもしれない。だが、俺は己を責め続けること以外、罪の償い方を知らなかった。 つい、昨日までは。 ―――――そうか。皆と逢えたのは、きっと……。 浮上し続ける意識の中、俺はある答えに行き着いた。 誤解なのかもしれない。自己満足なのかもしれない。だが、俺は…… 「……ん」 これ以外、自分を騙しながら皆と一緒にいれる理由を思い付かないのだから。
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