嵐を呼ぶ山田

40/106
前へ
/276ページ
次へ
ガンッ!と、金槌で殴られたような衝撃が頭と言わず全身に、そして何より心に走った。 「…………っ!」 あまりにも強いショックから体の動きが止まる。そのまま数秒固まっていれば、息苦しいことに気がついた。どうやら、無意識に呼吸を止めてしまっていたようだ。 震える唇を僅かに開き、喘ぐように呼吸をする。 ―――――情けない。嫌われても仕方がないと……むしろ、嫌われた方がいいと思っていたはずなのに、現実となるとこれだけ辛いとはな……。 「はっ……はあっ」 ぎこちなく浅い呼吸を繰り返す。そんな俺を、レンは笑顔のまま、ただただ見詰めていた。 『おれ、祐也のこと嫌いだから』 二度目は脳内で聞いた言葉が、心を深く抉る。痛い。痛くて、堪らない。 ―――――レンに嫌われるのは、嫌だ。 「……はは」 レンの視線から逃れるように顔を俯け、微かな自嘲の笑みを溢した。 たったこれだけのことで、覚悟していたはずの言葉が原因で、こんなにも己の感情が儘ならなくなるとは。 やはり俺は、弱いな。
/276ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14383人が本棚に入れています
本棚に追加