嵐を呼ぶ山田

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「自嘲」 「……え?」 そのまま項垂れていれば、レンがポツリと呟いた。その単語に思わず顔をあげてレンの顔を直視する。 「その前は、傷心。今は戸惑い」 レンは、無表情で言葉を紡ぐ。 「前世で、祐也が幼くなってた時に言ったよね?『祐也の仕草とか表情とかから予測してる』って」 「…………」 その言葉に、俺は声も出せぬほどの動揺を受けた。 ということは、つまり…… 「流石に今は細かいところまではよく分からないけど、大まかな感情くらいならすぐ分かるよ……ちなみに、不本意だけどこれから一緒に過ごすにあたって、どんどん細かいところも分かるようになるかも」 レンの瞳が、愉しげな色を帯びる。 「よろしくね、祐也」 俺は、ただぎこちなく頷くことしか出来なかった。とりあえず、心中で一言だけ言っておく。 ―――――ヤンブラじゃなくて元ヤンブラも、充分恐ろしいな。
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