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亮太と呼ばれた大柄の少年と軽口を叩きながらも、確かな嘲笑を含んだ言葉を放ったのは、小柄な少年。
身動きをする度に、着崩された制服の上を男にしては長い黒髪がさらさらと流れる。
「おい、兎丸!根暗とかひでーこと言うなよ」
兎丸と呼ばれた少年は、片頬をニヒルに歪める。
「本当のことだろ?」
「まぁ、そうだな。ははっ!」
笑い声を上げた亮太の短い茶髪が風に揺られた。
とりあえず、パンを返してほしいのだが……しかし、大声を出すのは俺のキャラではないしなぁ……
俯いて逡巡していると、不意に亮太が間抜けな声を漏らした。
「あ?なんだ、一個余分に入ってんぜ?」
開封された袋を覗き込み、眉間に皺を寄せる亮太。
俺のスペシャルタワーチョココロネに気付いてくれたか。
そっと安堵の息を漏らす。しかし、
「気が利くじゃねーか!これは俺らが食ってやるよ」
「ありがとうな?根暗クン」
……ですよねー。
脱力し、僅かに肩を落とす。
俺の分だという事は分かっているのだろう。その証拠に彼等はニタニタと嫌な笑みを浮かべている。
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