嵐を呼ぶ山田

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少しずつ変わっていく視界に、黒い髪が写った。整った顔に浮かぶニヒルな笑みも見える。 「よ、根暗クン」 そして、間髪入れずにその隣に仁王立ちしている大柄な茶髪不良も目に入った。 「根暗ァ……テメェ、『お使い』をばっくれるたぁいい度胸じゃねぇか……」 訂正、茶髪の修羅がそこに立っていた。 「…………」 嫌な汗が流れる。あ、ヤバい。これはヤバい。すねかじり坊っちゃまと素敵なジャイアニズムとジャイアントな身体をお持ちのガキ大将の襲来は洒落にならない。 何が洒落にならないというと場所がいけない。いつレンが出てくるか分からないのだ。早く場所を変えないと、もしも俺がイジメられている現場をレンが目撃したらコイツらは血祭りにあげられてしまう。余計な属性がくっついているとはいえレンが未だヤンブラなら、これは避け様のない確定した未来なのだ。 「……いや、あのその……すみません」 「とりあえずお仕置きしなきゃいけないようだな……?」 パキポキを通り越してバギボギと拳を鳴らしているジャイアニズムガキ大将は、もう完全に臨戦態勢だ。場所変えずに校内でイジメとか馬鹿なのか?馬鹿なのか!
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