嵐を呼ぶ山田

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―――――ああもう面倒なことになった……そもそも、フィリアにイジメられている現場を見られるとか、最悪だ……。 その場で踞りたい衝動に駆られるが、自制心をフル動員してなんとか抑える。イジメっ子二人組の前でそんな姿を晒すわけにはいかないからな。 「はぁ……」 再度小さく息を漏らしてからフィリアへと視線を向けると、 「あ、あの……君あ、いや貴女は、どこのクラスなんですか?あと、よければお名前を教えてもらいたいのですが……」 「……亮太。お前、馬鹿だろ」 そこには、顔を真っ赤にしてフィリアに話し掛けるジャイアニズムガキ大将と、心底呆れたように呟くすねかじり坊っちゃまがいた。 「……え?」 あまりの光景に、思わず口をぽかんと開けたまま棒立ちになってしまう。今の俺はかなりの間抜け面だろう。 ―――――え、もしかしなくても、合田亮太はフィリアに惚れた……?こんなジャイアニズムガキ大将が恋のライバルとか、あ、いや俺は別にこの恋を実らせようとはさらさら思ってはいないのだが、それにしても……えぇー。
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