嵐を呼ぶ山田

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顔を真っ赤に染めた亮太はそんなことには気付かずに、恍惚とした表情でフィリアを見詰めている。 「ふわふわな髪の毛に大きな目、その愛らしい仕草全てが俺の愛してやまないアルジャンノを彷彿させるフィリアたん可愛い可愛いよああああなでなでしたい!フィリアたんなでなでしてもいいか!?」 「お断りします」 バッサリと否定したフィリア。俺と兎丸はとにかく引いた目で亮太を遠巻きにしている。 「ところで、さっきから言ってる、あ……アルジャンノ?って、なに?」 フィリアが小首を傾げて訊けば、亮太は元々荒い息を更に荒げて答えた。 「アルジャンノは俺の可愛い可愛い家族、もといペットだ!ちなみに種類はチワワとプードルのミックス犬、チワプーだ!」 ―――――そう、亮太は類いまれなる愛犬家なのだ。 以前、俺はパシられた時に偶然見てしまった。亮太の財布の中に入れられていた犬……恐らくアルジャンノとのプリクラを。 その時、俺は知ってしまったのだ。 亮太は犬とチュープリを取り、それを躊躇うことなく財布に入れることのできる、変態だと。 フィリアを、こんな変態の魔の手に晒すわけにはいかない。
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