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「…………っ!?」
―――――何故、何故俺は当然のようにフィリアと手を繋いでいる!?
遅まきながら、今の状況に気付いた。放課後で誰もいない廊下。二人きりだ。しかも、俺とフィリアは手を繋いでいる。
昼休みでは腕を組まれたりもしたが、あれはメフィスト達もいて、ふざけた雰囲気だったので緊張はしたがここまで意識はしなかった。
だが、今は二人きりだ。
「……すみませんでした!」
堪えきれず、叫ぶように謝る。同時に手を離そうとした。
しかし、フィリアの手は離れなかった。
白く柔らかい小さな手が、俺の手を繋ぎ止めている。
「……え?」
意識しない声が口から滑り落ちた。声は廊下に控え目に響き、そして一瞬の後に溶けて消えてしまった。残ったのは二人の微かな呼吸音と、騒がしい俺の心臓の音。しかし、
「……ゆー君。このまま、手、繋いでちゃだめかな?」
後ろから聞こえてきた声に、俺の心臓は、一瞬だけ確かに止まった。
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