嵐を呼ぶ山田

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ぎゅっとフィリアの手を握り返した。 「…………っ!」 フィリアが動揺し、真っ赤な顔を更に赤くした。耳まで真っ赤になっている。 ―――――可愛い。 熱に浮かされた頭は、正常に働いてくれない。だから、仕方がない……仕方がない。 「フィリア……」 俺は、繋いでいる手とは反対の手を伸ばし、そして―――― 「リア充爆発しろやごるぁぁあああああああああああああああああああっ、げほっ、げほごほげほ……っ!?」 バリィン!という破砕音と共に、少し離れた窓を突き破って皇紀が飛び込んできた。 砕けたガラスが宙を舞い、光を乱反射して光輝く。 「な……っ!?」 驚き目を見開く。同時に空気が壊れたおかげで我に返り、慌ててフィリアの手を振り払って距離を置いた。 「ゆー君……」 ズキン。フィリアの悲しげな声に胸が痛む。 再度情にほだされそうになり、俺は強く目を瞑って頭を振った。だめだ、俺はなにをやっている!
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