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結局。あの後俺は、眼鏡を取りに戻らずにそのまま逃げるようにして帰宅してしまった。
「うわあああフィリアと手を繋いでしまった……というか名前呼びしてしまったうわあやってしまったああああああああああ」
『ねぇ、祐也。あれでよかったの?』
自室の布団の上、寝間着に着替えて就寝準備万端でごろごろと見悶えていれば、ユウヤが話し掛けてきた。あ、ユウヤの存在忘れていた……
「……いいんだ。俺にはのうのうとフィリア達の傍にいる資格なんて、ない。もっと精神的な距離を置いて接しなければ……」
『あ、いや祐也とフィリアちゃんのラブコメはどうでもいいしむしろリア充爆発しろぱるぱるぱるって叫んであげたいんだけど……そうじゃなくてさ』
そこでユウヤは一度逡巡してから、次の言葉を紡いだ。
『イジメっ子二人のこと、明日からどうするの?』
「…………あ」
意図せず、間抜けな声が口から漏れた。
「あの二人もどうすれば……あああああもう!面倒だ!」
あまりにも多くの悩みに思考が絡まり、思わず頭を抱えて叫べばその頭の中にユウヤの楽しげな声が響いた。
『キレないキレない、見てる分には楽しいよ』
「黙れ引きニート」
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