嵐を呼ぶ山田

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「祐也、おはよう」 メフィスト達と流達の中間辺りに立ち、ニコニコと黒い笑顔を浮かべている変態(ヤンツン)。 そして。 「…………」 俺は、メフィスト達から更に離れた場所へと、ゆっくりと視線を向けた。 動悸がする。無意識に握り締めていた掌に、じんわりと汗が滲む。 吐く息が震える。いや、息だけではない。全身が理由も判らずに小刻みに震えている。 落ち着いた雰囲気を醸し出す濃紺の髪を持つ長身の少年に、陽光を浴びて煌めく銀髪を持つ気だるげな少年。 その二人に挟まれるようにして、金色とは微妙に違う髪色の少年は立っていた。 ―――――到頭、この時が来たか。 一際長く吐息を吐き出し、俺はその名前を呼ぶ。 「レイク、ドルナド…………朔夜」 ドクン、と鼓動が跳ね上がった。
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