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アツシside 「・・・頼む…ハル…」 ゆっくり、 ゆっくり やっとできたことを慎重にする 抱きしめるとびっくりしてハルが 体を震わせてる 『だいじょうぶ・・・怖くないよ』 そういうみたいに 頭をなでる 「…好きだ」 やっと言えた言葉は 泣きたくなるほど切なくて 目の奥がじん…ってにじむ 「…俺、もう君を想い続けるの…疲れたんだよ」 体を離すと まだ迷ってて ナツの影が見えるその唇を 自分の唇に近づけると 小さく、俺の胸を押す …そんな力で 男は立ち下がれないんだよ 「…アツシ…ゃだ…っ」 「大丈夫… 怖くないよ?」 耳の裏側に唇を押しあてると 肩がすくんで 震える ソファーに少し乱暴に押し倒すと なにをしようとしてるか全部分かったみたいに また泣きじゃくるハルが 「・・・……ナツ…っ」 そう呼んだんだ その時俺は 初めて女の子に手をあげた 乾いた音と その残像が、怖くなってる そしてハルは はじめて俺を 怖がった
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