305人が本棚に入れています
本棚に追加
/233ページ
洗面台の鏡に映る自分の姿が
あまりにひどくて
呼吸をしたら
恐怖を思い出しそうになる
泣きすぎてぱんぱんになった目
腫れたひだり頬
痩せた体
こんな顔してたら
アツシが泣いちゃう…
冷水で濡らしたタオルを
腫れた頬にあてながら
床にぺたん…って座ってるアツシが
力なく私を呼ぶ
「…いたい?」
「ぅぅん、へいき」
「みせて…」
「だいじょうぶだよ…」
タオルをよけて
頬に触れる
そしたら
叩かれた時の事を思い出して
体が震える
「…なんで…あいつなんだよ」
…なんで?
・・・わからない
「どうしたら…忘れてくれるの?」
…わからないよ
「…どうしたら…俺のものだけに…なってくれる…」
ごめん
「…・・・答えてよ…っ」
…ごめんね、アツシ
こんなふうに
苦しむアツシを
涙を流してみるんだったら
ここに、来るんじゃなかったら
このままだったのかな…
最初のコメントを投稿しよう!