予知Ⅰ 始まり

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 ここは何処だろう?  身体が、自由に動いてくれない。  ……ということは、僕はまた“例の夢”を視ているのか。  沢城和真(さわしろかずま)は、夢の中の風景を目を凝らして眺めた。  よく見てみると、其処は和真の通っている高校の屋上だった。  夢の中はいつもと同じで、視界は狭く正確な状況の判断が難しかった。  すると、和真の視界にとある女子生徒の姿が映った。  あの娘、何やってるんだ? あんな端っこにいたら危ないのに……。  屋上の柵に背を向けて、凭れ掛かる少女をひやひやしながら見ていた、その時。  柵が壊れてバランスを崩し、少女の体は空中へ投げ出された。 『危ない…―――っ!!』  和真がそう叫んだ時は、もう手遅れだった。  ―――ドンッ。  鈍い音を立てて落下した少女の姿を確認する為、策の近くへ急いで駆け寄る。  彼の目に映ったのは、裏庭で頭からドクドクと血を流しながら倒れている少女の姿。その瞳は大きく見開かれ、僅かに涙が滲んでいた。  うっ……今回のは、特に…ひ、酷い…――――っ。  和真はひどい吐き気と目眩に襲われ、思わず目を逸らし口元を手で強く押さえた。  いくら夢でも、一般人の高校生が直視するにはグロテスク過ぎる映像だった。  次第に視界がくらみ、和真の意識は真っ逆さまに落下していくように、現実へ引き摺り戻された―――。
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