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一瞬にしてしんとなった空間。俺がはっと意識を取り戻したのは、床に零れ落ちる透明な雫が弾ける音に気づいたからだ。
銃口より少し上に視線を上げる。そこには、目から涙を流しているミリムの顔があった。
「私だって……自由になりたいよ……」
さっきの叫び声とは正反対の弱々しい声でミリムは言う。
ミリムの目からは涙が止まることなく流れ続け、顔をくしゃくしゃにし、銃を構えている手が震えていても、俺から目を離さずにこう言った。
「でも…それ以上に■を失うのが嫌……」
俺がミリムの一言に何も言えないでいる間に、ミリムは言葉を続ける。
「確かに私と■は、世界の束縛から自由になろうと今まで研究を続けて来た……けど……」
「世界は『■■』に■を選んでしまったの!■が世界の奴隷になる姿は見たくないの!!それなら…私が……」
ミリムは叫び、膝から崩れ落ちる。そこから何も言わなくなり、空間にはミリムの嗚咽が響くだけとなった。
30秒程間を置いて、俺はやっと声を出すことができた。
「ひとつ、頼みがある」
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