銀木犀1

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俺は、人や動物の死期を視る事が出来る。 「…あの人、もうすぐ死ぬよ」 進行方向に向かってそう呟けば隣で歩いてた鈴ちゃんがギロリと俺を睨んできた。 ごめんなさい。 そう謝罪の言葉を言うと「公共の場ではやめて」とごもっともな事を言う。 まぁ確かに。 中学に入学してから一気にぐんと伸びた身長は高校2年のこの前の身体測定で186㎝と判明し、前に計った時よりも2㎝伸びていた。 それに比べて俺の横を歩く女子高生、小村鈴子…俺は鈴ちゃんって呼んでる。鈴ちゃんは中学3年で身長が止まって高校2年の身体測定では151㎝と俺に比べたらかなり低い。 一緒に歩けば歩幅が合わないから、いつも俺がゆっくりと歩いてた鈴ちゃんに合わせている。 時刻は夕方6時。 もう春だから日が長く、この時間になっても明るい。 今年の桜は散るのが早かったから桜並木はほぼ葉桜で、散った花びらは風でコンクリートの端に追いやられてるにもかかわらず人の足に踏まれたのか綺麗な薄いピンク色ではない。どちらかと言うと黒ずんで綺麗とは言い難いもの。 鈴ちゃんは桜が嫌いだと言う。大体の日本人は桜が好きなものだと思うんだけど、鈴ちゃんは満開に咲き誇る綺麗な桜を見るのは見るけど興味を示さない。 多分、植物と言うものが特別嫌いと言うんじゃないとは思う。 花屋を横切れば旬の花を見て「綺麗」と言うし、貰った花をドライフラワーにして大事に取ってあるから。 それなのに桜だけは拒否の姿勢。 鈴ちゃんは不思議だ。 何で桜が嫌いなのか理由を聞いても一切答えてくれないし、あまり聞きすぎると「孝義しつこい」と一刀両断。 .
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