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8月2日2時間目
授業終了を告げるチャイムが鳴る
木下海斗は先程まで寝ていた為ダルい体に鞭を打ち教卓の前にいる数学教師に対し礼をする
一人だけ礼をしないと数学教師であり担任でもある彼に注意されてしまうからだ。
暫くして彼が教室を去れば眠そうに大きく欠伸をした。
そこへ誰かが近寄って来た様で、誰かと思い海斗は顔を上げる
「...翔汰」
翔汰と呼ばれたその人物は小さく微笑みながら海斗の頭を撫でる。
撫でられれば未だ眠そうに目を擦り、海斗は翔汰の顔を見ればつくづく思う
切れ長の二重の瞳に凛々しい眉、少し長めの黒い髪は風が吹けばサラサラと揺れる
そして凡人よりも端麗な顔立ちから10人中9人は間違いなく格好良いと口を揃えて言うであろう翔汰が、勉学が乏しく運動しか能がない自分に構うだなんてなんて不思議な事なのだろうと。
海斗はこの学園にバスケのスポーツ推薦で来た。
バスケは身長が高い程有利だが、海斗はそこまで身長が高い方ではない。にも関わらず海斗は寧ろ小柄な体系を活かしトリッキーなプレイをする将来有望な選手だ。
話が逸れたが、つまり海斗はバスケの能力を買われた為この学園に来たが、頭が悪い為勉強には着いていけていない
それを見兼ねた担任が、クラスで一番頭の良い翔汰に頼み海斗に勉強を教えているという訳だ
容姿が良く頭も良いだなんて、神は素晴らしい人間を作ったものだなぁと頭の片隅で考えた海斗だったが、体育の授業でも活躍する翔汰を見て彼に出来ない事などないのではないか、と疑った
あながちそれは、間違いではなかったが。
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