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8月4日3時間目
きゃあきゃあ、とクラスの女子が体育の授業中にも関わらず叫んでいる
それは悲鳴ではなく歓声だと海斗は思った
何故なら女子は自分や翔汰がバスケの試合でゴールを決める度に声を上げるからだ。
翔汰は身なりが良いのだからともかく自分がシュートを入れた所で歓声を上げる理由が分からない
不思議そうに歓声を上げる女子を見れば肩の力を抜き3Pシュートを決める
再び歓声が上がる
ふう、と汗を腕で拭えば後ろからポン、と肩を叩かれる
誰だろうかと振り向けばそこには体育の為髪を結んでいる翔汰がいた
相変わらず羨ましい位のイケメンだな、と海斗は思った
「ナイスシュート、海斗」
いつもの調子で頭を撫でられる
「当たり前だろ、こっちは推薦で来てんだからよ」
けらっと明るく笑いふっと目を閉じ、息を整える
相手の奴らは所詮素人ばかり――――何点入れられるか?
ワクワクする、胸が弾む
「さぁ、コテンパンにしてやろうぜ」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「海斗、お前容赦ないのな」
翔汰がクスクスと笑い海斗に言う
当たり前だ、体育の授業とはいえ海斗にとってこの学園にいられる意義はバスケしかないのだから
「それにしても女子煩かったよなー、耳障りだっつの」
海斗が溜め息を吐き乍云えば、翔汰は眉を寄せ眉間に皺を作った
如何したものかと翔汰を見詰めれば、その視線に気付いたのか何でもない、と首を振った
それにしても、翔汰は本当に弱みのない人物だ
容姿端麗、文武両道、くわえて自分何かと話してくれているのだから性格も良い。
そこまで考えれば海斗は口角を上げた
“彼の弱点を見つけたい!”
海斗の心はその事で支配された
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