少女A

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8月4日3時間目 その時、私は一目惚れというものは本当に存在するんだと実感した。 綺麗なフォームでシュートする彼は、とても鮮やかで輝いていた。 そして思わず綺麗、と呟いた。 授業の終わるチャイムが鳴り、バレーのポールの片付けをする。 重い...こんな重いものを体育委員だからと一人で片付けをさせられる私が可哀想だ。 小さく文句を言いながら片していれば、ふと腕から重さが消えた。 後ろを見れば自分とあまり変わらない背。 「...木下君、何で」 驚いた様に尋ねる。彼はポールを持ってくれている。 「いやー、だってなんか重そうだったし」 明るく笑う彼を見ると少し頬が緩む。 彼は何て癒されるのだろう。 小さく御礼を述べ全てのポールを片せば不意に尋ねられる。 「有間さんって翔汰の事好きなんだね、知らなかった」 悪戯っぽい笑顔でそう言った彼に、私は言葉を詰まらせた 何の事?と得意のポーカーフェイスで誤魔化すも、体育のときの呟き聴いちゃったと返されれば成す術もない。 そうだよと仕方なく認めれば相手は目をランランと輝かせているではないか。 明らかに怪訝そうに見詰めれば彼はもろともせずこう言った。 「俺、有間さんの恋に協力してあげようと思うんだよね」 何を言っているのか分からなかった それが伝わったのか彼は語り始めた 「ほら、翔汰ってさ何でも出来るじゃん? 俺、それに甘えてばっかりで....多分迷惑も掛けてばっかりだから。 翔汰にもし彼女とか出来れば、頭悪い俺にも何か出来るかなって」 にっと明るく笑う彼を見れば、成る程 白井君が彼を撫でたくなる気持ちも分かる だってとても癒される いい子だなぁ、と年寄りの様に頭の片隅で考えつつもそこまで言うなら協力して貰おうかなと承諾すれば、彼は嬉しそうにへへっと笑った あぁ、やっぱり癒される
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