気まずい二人

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「もう、どうしてそんなに素直じゃないの? 碧は」  皐月は不機嫌そうに口先を尖らせた。 「二階堂君が好きだって言ってくれれば、私だって全力で協力するのにさぁ?」 「だから、好きとかそういうんじゃないってば」  碧は苦笑いしながら手を横に振った。  そう、あたしの二階堂輝に対する感情は少なくとも恋愛感情ではない。  むしろ真逆の、暗く嫌な感情だ。  彼とは幼い頃からの幼馴染だが、今ではそんな生易しい関係ではなくなってしまった。  でも、それも今日と明日で終わりにする。  本当に些細なことだけれど、あたしにとっては一世一代の“大勝負”だ。  失敗すればもう二度と言葉を交わすチャンスは無くなる。  けれど、成功すればあたしはもう一つの“賭け”に出よう。  チャンスは二日。“勝負”に勝とうが負けようが正直どうでもいい。  もう終わらせてやるんだ。  こんな息苦しい生活を。  たとえ、これによってもう二度と、彼の笑顔を見られなくなってしまったとしても…―――。  碧は、雲ひとつない夏の青空を恨めしそうに睨んだ。
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