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戸惑いながら視線を彷徨わせる。
「あの…、私、歩くの遅いから先に行っていいですよ?」
「んー、いいよ。
ほら最近ゆっくり話す機会なかったしさ」
嬉しくなって、足の痛みなんて気にならなくなった。
私の歩調に合わせてゆっくり歩いてくれる先輩と話しながら、校門に入って、グラウンド脇の道を歩いていく。
ふとグラウンドを眺めると、
見知った姿があった。
助走し、大地を蹴って舞い上がる。
バーを越えて分厚いマットに着地した瞬間、揺れたバーが落ちた。
間宮君は険しい顔をしながら立ち上がって息を整えていた。
一週間は練習しちゃダメだって言われてるのに……。
なぜか怒りたい気分になりながら見ていると、息をついた彼と視線が合った。
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