お気に入りの時間

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「絶対アキラが使ってたのと同じ色だよ。私、あのCM好きだからよーく見てるもん。」 咲は、CMを観ていた時と同じうっとりとした目つきをして呟いた。 「……あのCM……アキラが彼女に優しく微笑むシーンとか、すごく素敵……憧れちゃう……」 ふわふわした口調でそう言ってから、咲はちょっと照れたように俺を見上げる。 可愛い表情にドキリとしながら、その顔をさせてるのが俺じゃないと思うと、モヤモヤとした感情が湧き上がってくる。 俺は無意識に、咲から目を逸らした。 ……あーもう、そんな甘い声でアイツの話なんてするなよ……。 芸能人に嫉妬するなんて子供じみてる、て分かっているけれど……、 一度火がついた嫉妬の炎は、なかなか収まってくれない。 「知らなかった。咲ってああいうのが好きなんだな。」 思いっきり不機嫌な口調で言うと、咲はキョトンとした顔で目をパチパチさせた。 「え……ああいうのって?」 「……だから……あのアキラって男みたいなの……」 「え……」 少しの間のあと、突然咲がクスクスと笑い出した。
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