惹きつける色

お気に入りの時間

＊　＊　＊

水の入ったグラスを２つ運んできた咲が、それをローテーブルの上にコトンと置いた。

「サンキュ。それじゃ、食べようか。」

「いただきます。」

ローテーブルの前に２人で横並びに座って、俺が作ったシーフードカレーを食べる。

カレー皿の横には、咲が作ったポテトサラダと生野菜のサラダが入ったガラス製の器が並べられていた。

「おいしー。やっぱり美味しいね、拓ちゃんのカレー。」

咲はスプーンでカレーを掬って口に入れると、ほうっと幸せそうにため息を吐いた。

「咲、いつもより食べるの早くない？もうそんなに食べたの？」

「だって美味しいんだもん。」

「だから大げさだって、カレーくらいで……」

そう言いつつも、正直悪い気はしない。

「ね……また作ってね？」

「はいはい。」

……カレーくらいで、こんなに嬉しそうな顔してくれるなら、いつでも作ってやるよ……。

わざと素っ気ない返事を返しながら、俺は心の中で一人にやけていた。

「ごちそーさま。」

咲より早く食べ終わった俺は、グラスに入った水をゴクゴクと飲み干す。

すると咲は慌てて、まだ食べかけのカレー皿の横に、スプーンをカチャリと下ろした。