お気に入りの時間

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そんな時に見つけた咲の、飲み物を飲む瞬間に目を閉じる癖。 あの頃は向かい合って座っていたのでもっと距離があったが、 今は隣り同士に座ってこんなにも近くで、その可愛い瞬間を捉えることができる。 そう考えるだけで、嬉しさと同時に愛おしさがこみ上げてきて、俺は、いつもより甘く柔らかい声で咲の名前を呼んだ。 「さーき。」 「ん……何?」 トロンとした目つきの咲の瞳が、俺に向けられる。 ……どこが『全然酔ってない』だよ……。 苦笑いしながら、俺の視線は無意識に咲の唇に惹きつけられていた。 ……今キスしたら、甘そうだな……。 ワインを飲み込んだ咲の唇は、濡れてさっきよりも艶っぽく光ってみえる。 俺は我慢できずに、赤く火照った咲の頬に片手を添えて、濡れた唇を塞いだ。 不意打ちのキスに、驚いた咲の瞳が大きく見開かれる。 撫でるようなキスのあと、柔らかな咲の唇を味わうように、ちゅ、と吸い上げてからゆっくりと唇を離す。 俺の視界に、お世辞にも"ほんのり"とは言えないほど真っ赤になった咲の顔が飛び込んできた。
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