お気に入りの時間

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俺はワインをゴクリと飲み干すと、空になった自分のワイングラスをローテーブルの上に置いた。 俯いて顔を隠そうとする咲の顔に手を添えて、しっかりと視線を捉える。 唇を親指で軽くなぞると、咲の濡れた唇の隙間から熱い息が漏れて俺の指にかかった。 熱いその吐息は、ワインよりも俺を酔わせる。 ……やば……何か、スイッチ入った……。 俺は咲の手からワイングラスを奪い取ってひと口飲みほすと、また唇を重ねた。 舌先で唇を割って奥に侵入し、さっきよりも深く甘く口付ける。 「あ……」 小さく声を漏らして、咲はしがみつくように、ぎゅっと俺の腕を掴んでくる。 唇を離して、俺はにっこりと微笑んで咲に尋ねた。 「……咲はどうだった?」 「……え……」 少し乱れた息づかいのまま、咲が俺を見上げる。 顔にかかった髪を耳にかけてあげてから、俺は咲の耳元に顔を近づけてそっと甘く囁いた。 「……俺のも……甘い?」
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