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咲の瞳が恥じらうように揺れる。
みるみるうちに耳まで真っ赤になってしまった咲は、じわっと瞳を潤ませて困った顔で俺を見つめた。
頬杖をついてその様子を眺めていた俺は、くすっと笑って本音を零す。
「かわいーな、咲は。」
からかうような俺の言い方に、咲は唇を尖らせて、じとっとした目つきで俺を睨んだ。
「……拓ちゃん、酔ってるの?今日……イジワル……」
「そう?いつもと変わんないけど?」
「……」
咲は何か言いたげな瞳で俺を見上げたあと、ぷい、とそっぽを向いてしまった。
……うん。
やっぱ、こうじゃないとな。
俺は満足そうに、口元を緩ませた。
昼間の俺はどうかしてたんだ、きっと。
咲にからかわれて、俺が赤くなるなんて。
―――俺がからかって、咲が照れる。
絶対こっちの方が、しっくりくる。
「……ね、教えてよ。」
「……知らないっ……そんなの……」
「何で?聞きたい。」
「……も、もう……忘れちゃった……」
「……。じゃあ、もう1回する?」
「っ……」
言葉で攻め立てながら更に距離を詰めると、咲は逃げるように、すす、と横にずれていく。
じりじりと少しずつ追いつめてソファーの端っこまでくると、俺は体を横に向けて、トン、とソファーの背に片手をついた。
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