お気に入りの時間

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「……も、もしかして……目、開けてたの?」 「うん。最初から最後までずっと、ね。」 見られていたと知って真っ赤に染まった咲の頬はさっきよりも熱を帯びていて、頬を撫でる俺の指先をも熱くしていく。 「っ……目、閉じてって言ったのにっ……」 「はは、ごめん……けどさ、」 羞恥で、じわっと潤んだ咲の瞳を満足そうに眺めてから、俺は咲の耳元に唇を寄せて囁いた。 「……メチャメチャ可愛いかったよ、キスしてる時の咲……」 「……」 「それに……ちょっとだけエロい顔してた。」 「なっ……してないっ、そんな顔……」 「恥ずかしいのに耐えてるって顔が、何かさ……」 「……」 「だから何か照れたっていうか……ちょっと興奮して余計に熱くなってきたっていうか……」 「っ……」 俺の言葉が言い終わらないうちに、咲はガバッと立ち上がった。 「……私っ、お皿洗ってくるっ……」 「あ、俺も……」 「拓ちゃんは今日はいいからっ。そこ座ってて。」 咲は恥ずかしくてたまらないのか、耳まで真っ赤になって瞳を潤ませながら、バタバタと逃げるようにキッチンに入っていく。 そんな咲の背中を、俺はクックッと可笑しそうに笑って見送った。 ――俺の勝ち。 完全に、俺のペース。 やっぱり、絶対にこっちの方がしっくりくる。
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