お気に入りの時間

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すっかり気分が良くなった俺は、グラスにワインを注いで軽く掲げてから、ゴクリと飲み干した。 ……あー……何かさっきよりも、美味しく感じる……。 甘くて口当たりが良くて、まるで……。 俺はさり気なく、キッチンに視線を向けた。 ちらっと見える少し俯いた顔は、まだほんのりと赤く染まっている。 ……可愛いな、ほんと……。 さっきのじわっと潤んだ瞳が蘇ってきて、俺は少し反省した。 ……ちょっとイジワルしすぎたかな……。 ……恥ずかしいの我慢して、俺のために頑張ってくれたわけだし……。 俺は飲み終わったワイングラスを持ってキッチンの中に入って行った。 「これも追加していい?」 「……うん、そこに置いて。」 咲の了解をもらってワイングラスをシンクに置くと、俺はシャツの腕を捲って咲が洗った食器の泡を流し始めた。 「拓ちゃんはいいのに。今日はカレーも作ってもらったし……」 「いいよ。2人で洗った方が早く終わるだろ?」 「でも……これくらいなら私1人でできるから……」 「いいって。こういうのが咲の憧れなんだろ?」 「え……」 「昼間、言ってたじゃん。あのCMみたいなのに憧れる、て。」 「拓ちゃん……」
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