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男の姿を視界に納めた瞬間。少年の顔が恐怖に引き攣った。
その口から飛び出した悲鳴は、恐怖というよりも嫌悪に近い。
「まふまふやぁ~! まふまふやでぇえええ!」
男は牝羊を抱えながら、ゆっくりとこちらに歩み寄って来る。
腕に抱えた羊の被毛を忙しなくまさぐりながら、息をあらげて近付いて来る。
「ひィッ! 来やがった……!」
恐怖におののきながら、少年は救いを求めて辺りに視線を走らせた。
「オオカミだ! ヤツが来たっ!」
しかし……。
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