オオカミと少年

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 村人達はまるで男の姿など目に入らないといった様子で、いつも通りに作業をしている。 「まふまふやぁ~! たまらんのぅううう~!」 「オオカミだよ! ヤツが来たんだよっ!」 「め゙ぇえええ~!」  暴れる牝羊を押さえながら、その羊毛に覆われた腹部に顔をうずめる男。  それを指さし訴えるも、村人達は誰も少年の声に耳を傾けるそぶりを見せない。 「ひつじ萌えぇええ!」 「ほら、オオカミがそこにぃいいい!」 「め゙ぇ゙え゙え゙え゙~っ!」  少年の叫びが虚しくこだまする。
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