オオカミと少年

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「うそをついちゃいかんよ、しょうねんよ」 「そうだよ、おおかみなんてどこにもいないよ」 「ばかなこといってないで、はやくしごとをしなさい」  それどころか村人達は、能面のような表情で少年を諭した。 「みんな何言ってるんだよ、目の前にいるじゃないかぁっ!」 「ええのぅ~まふまふは最高やでぇええ~! ハァハァ!」 「め゙ぇっめ゙ぇええええ!」  憐れな牝羊を撫でくりまわす男を、少年は再度びしりと指でさし示す。  するとすかさず指された方向から、さっと顔を逸らす村人達。 「さぁ、しごとしごと!」 「いそがしい、いそがしい!」
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