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「めごひめさま…?」
「…うぅっ…ひっく、ぐすっ…。政宗様は、ご無事ですか…?」
「姫様…。姫様だって怖い思いをされたでしょうに…」
「ぐす…っ!いいんです、まだ子を生せない体の事で…何か言われるとは思っていましたから…っ!
私より…政宗様です…ッ!政宗様の方が…ッ!ふぇぇぇぇんっ!!」
自分の事ではなく出会って間もない政宗の身を案じて愛姫は泣きじゃくった。
それを見て輝宗は静かに目を見開く。
「(この乱世に置いて何と優しい心を持った姫だろう…。
人は自分の為ではなく会って間もない…他人の為にこんなにも涙を流せるものなのか…!
こんなに、こんなにも…穢れなく綺麗な涙を…―)」
輝宗は泣き続ける愛姫を見つめて彼女のような心優しい姫君を迎え入れる事が出来た事を心から感謝した。
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