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「ふ、芙蓉…!」
「愛姫様!…一体どちらへ行っておられたのです?」
ぶつかってしまった相手は芙蓉だった。
どうやら、自室に居なかった愛姫をずっと探していたらしい。
「昨夜の事もありますし、なるべく自室に居て下さいと申した筈ですよ?」
「ご、ごめんなさい…!でも、私…政宗様が心配で…」
愛姫はそう言うと申し訳なさそうに表情を歪ませ俯いた。
それを見て芙蓉は膝をつき、愛姫の顔を覗き込む。
「謝らずとも良いのです、愛姫様。
ただ私や小春達の誰かに一言告げてからにして下さい。
皆、とても心配していたんですよ…」
「…うん、ごめんなさい」
「それで政宗様はどうだったのですか?」
「家臣の皆様が言うには軽い打撲で済んだって。
お会い出来ないか聞いたけど、今は政宗様は誰にも会いたくないって…」
「そうでしたか、それは残念で御座いましたね」
芙蓉はそう言うと愛姫の頭を優しく撫でる。
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