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一方、政宗は自室でふてくされていた。
義姫にほぼ一方的に叩き伏せられたのだから仕方が無いのかもしれないが。
「(あの女…覚えてろよ。いつか、化けの皮剥いでやる…)」
政宗はグッと唇を噛み締める。
脳裏にあの時義姫が見せた不気味な笑みが浮かぶ。
『…―元服しても貴様はまだまだガキじゃな、政宗』
「~ッ!!俺は、俺は…ガキじゃねぇっ!!」
ドン、と政宗は右手で畳を殴る。
鈍い痛みがじんわりと拳に伝わってきた。
すると、廊下に控えていた小十郎がその音を聞きつけ諌めるように声を掛ける。
「政宗様!お体に障ります、お控え下さい」
「…るせぇよ、俺には時間が…!」
政宗がそう言いかけた時、何処からともなくやわらかい琴の音色が聞こえてきた。
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