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「この音色が、政宗様に届きますように…」
愛姫は心込めて琴を弾く。
物心付いた時から教養として琴を嗜んでいた彼女は三春では評判の腕を持っていた。
『愛姫様。愛姫様には琴が御座います、琴の音にお気持ちを載せてみては如何でしょう?』
『えっ?で、でも、大丈夫かな…?』
『大丈夫ですよ、音色には心を込める事が出来ます。きっと、政宗様に伝わる筈です』
『う、うん。政宗様に届くように頑張って弾いてみるね!』
先ほどの芙蓉との会話を思い出しながら愛姫は絃を爪弾き、やわらかな音色を奏でる。
一つ一つの音に想いを込めて、心を込めて…。
『愛姫…』 『政宗様…』
""ありがとう(御座います)…""
城内に優しく響く琴の音の中で、政宗と愛姫の心は確かに重なっていた…―。
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