入学式なんて存在は俺には関係ないことである

5/5
前へ
/30ページ
次へ
浅葱を纏う男たちの集団。 ごっつ厳つい集団で流石にひく。おまけに刀なんて物騒なもんぶらさげてるから厳つさは拍車をかけた。 その中に総司はいた。 あどけなさが残っている総司の顔立ちは明らかにその場とは不自然だった。…でも、あれで誰よりも強いっていうのは凄いことだな。 総司はキョロキョロと誰かを探しているようだった。 目的の人物を見つけたのか総司は浅葱色を翻して駆け出す。 熱い。 焼けるように燃えるように。 総司がある誰かに近づく度に俺の心臓は悲鳴をあげるかのように高鳴る。 『  さん!』 その人は振り返った。 しかし総司がその人の名前を呼んだ瞬間に俺の意識は覚醒した。 ぼんやりする思考。だけども胸の熱さと高鳴りは一向に収まらない…。 (…なんだよコレ) 落ち着け、落ち着け…。 何度も息をつき体の高ぶりをおさえようとする。 「では、新入生代表挨拶」 「はい」 女の子の声。 それだけなのに、 「っ!!!」 …熱い、なにかが、こみ上げてくる…。 「新入生代表、土方千歳」 先生の言葉にガツンと殴られたような気がした。 艶やかな黒髪が流れるように波打ち涼しげで落ち着いた顔立ちはクールな印象。 現代の今でも変わらない。 整った顔。意思の強い瞳。 まさしく、先ほど振り返った浅葱色を纏った男だった。 「土方、さん」 自然と名前と共に落ちた涙。 俺は今、総司と一体化しているのだと思った。 胸の高鳴りはピークをすぎて爆発していた。 …あれ? 土方さん、って…女だっけ?
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

62人が本棚に入れています
本棚に追加