実は私

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小さい頃から自分でも変わった子だと思っていた。 土方千歳。 それが今の私。 昔の私は―――…‥新撰組副長、土方歳三。 本当に変わっていたと思う。 兄がたくさんいて(ちなみに五人いる)私は末っ子。 六番目に産まれた最初の女の子。つまり兄弟で女は私だけ。 そりゃもう兄さんたちに可愛がられた。 兄さんたちに混じって遊びチャンバラごっことかよくしていた。 女の子の人形遊びとかままごととかは恥ずかしくてできなかった。 …まぁ、つまりはだーいぶ男らしい子だった。 それを気にしたことはなかったし兄さんたちに囲まれたからだと誰もが思ってた。 もちろん私だって。 でも。 その思いが覆ったのは、私が四歳の時だった……。 たまたま。 本当に偶然。 いつもみたいに兄弟みんなでリビングでじゃれあってた時だった。 ゴロゴロみんな転がるからテレビのスイッチが入ったらしい。きっとリモコンを踏んずけたりしたんだろう。 パッと映しだされた映像。 それは―――。 『―――御用改め新撰組だ』 「えっ?」 浅葱色。 飛び込んでいく男たち。 ギラギラと獲物を狙うように光る刀。 すべての音が止まって映像を食い入るように見た。 全身に冷水をぶっかけられた冷たさと身体の奥底からせり上がる熱さで、もう訳が分からない。 「うわ…。うわぁぁぁあんっ!あぁぁぁあ!」 私は大泣きした。
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