入学式なんて存在は俺には関係ないことである

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華やかな入学式の雰囲気は俺のテンションをがた落ちさせた。 まだ体育館にもついていないのに。 「…うっざぁ」 俺が機嫌が悪い声で呟くから側にいた新入生(女の子)の肩がびくりと震えた。うわ、悪いことした…。今、意外とか思ったやつ殴らせろ。 「ちょっとー!沖田、なに新入生怖がらせてんのー?」 前田が俺の後ろにのりかかってくる。ウザイ。重い。 前田「ごめんねー」と俺が(不本意ながら)怖がらせてしまった新入生に手を振る。 だけどピアスジャラジャラの見た目不良のお前も相当怖いと思うぞ。 ほら、新入生、この世の終わりみたいな顔をしてるし。 「なにやってんだよお前ら」 後ろから高い声が聞こえて振り向いた。 「おっ、伊達ちゃ~ん。おはよ」 「前田、お前その派手な格好どうにかならんのか?」 呆れ顔の伊達が前田を押しのける。そして綺麗な笑顔で新入生を送り出した。 新入生はようやく安心したように息をつき小さくお辞儀して走っていった。 てか、あの子、伊達に惚れたかもな。俺の勘である。 「ちょっとー…。伊達ちゃん冷たいじゃん」 前田がムスッと頬を膨らます。気持ち悪いので止めてほしい。 「なに気持ち悪いこと言ってんだよ。とっととその顔どうにかしな」 どうやら伊達も俺と同じことを思っていたみたいだ。 思いっきり眉をしかめている。 「ひどいっ!」と泣きはじめる(真似)前田を置いて俺はささっと体育館に足を進めた。 あの二人に関わると日がくれる。というより早く座りたい。 「あっ、沖田ー!サボったら承知しないからなー!」 遠くで伊達が叫ぶ。 あいつは…俺を何だと思ってるのか?悲しくなった。
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