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それからすぐに朝食を摂る、いつもは一人寂しく菓子パンなんだけど、今日は三人いるから不思議な感じだ。
しかし、なんでいるの?
「えっと…。」
「美味しい?」
とびきりの笑顔で唯が聞いてくる。
「あ、ああ美味しいよ…じゃなくて…。」
「しゃべったらいかん。」
うぜー。
なんなんだよ、なんなんだよ。
意味も無く繰り返す。
なんなんだよ!?
そして、意を決する。
「なんでうちにいんの!?」
はぐらかされないように大声を出す、流石に2人とも驚いているようだ。
「えっと、今日はお願いがあってきました。」
え、急になに?
唯は両手を顔の前で合わせて言った。
「みゆちゃんを今日一日だけ見ててくれない?」
死刑宣告か?
チビッコは黙々と米を口に運んでいる。
「なんで俺がこのチビの面倒見なきゃいけないんだよ!」
「うぅ、今日は友達と出かける予定があって、お願いします。」
いつもなら、イヤの一点張りなんだけど、唯の頼みを断るのは抵抗がある。
未だに唯は両手を顔の前で合わせている、その必死な様子に、引き受けようか断るか迷う。
このチビッコの面倒なんか見切れネェ、けど唯がこんな俺を頼ってくれているんだ、よし。
「わかったよ。」
その言葉に唯の顔が一気に嬉しそうな笑顔になる。
そして俺にある野心が生まれる。
「その代わり夕飯も作ってくれ、その…美味かったから。」
まぁ妥当じゃない?
それをきいて、唯は嬉しそうに笑った。
「任せて!じゃあよろしくね、みゆちゃんも大人しくね。」
それだけ言うと、すぐに玄関に向かい、でていってしまった。
予想外に早く出て行ったな。
チビッコはもくもくと、朝食を口に運び続けていた。
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