12人が本棚に入れています
本棚に追加
外に出るといつも通りの“灰色の景色”。
いつも通りの曇り空。
いつも通りの瓦礫山。
いつも通りのどんよりとした空気。
なにより目がつくのが【スカイタワー】という名の灰色の塔。
一面がコンクリートで覆われてるがどこにも継ぎ目がないように作られている。
入り口は地下にあるといわれてるけれどあくまで噂なので信憑性がない。
高さは…雲に届きそうなくらい。
アレの中には今、たくさんの人が住んでいる。
彼らは一般人、正確にいえば害無き人々…いや、“利益を生む人々”。
私のような害しか生まないようなモノは入ることすらできない鉄壁の中で平和に過ごしている。
…そう考えるとやっぱりムカつくね。
「弥津梨さん?」
「ん?あぁ、帰ろうか。」
「…ぁの、今日は、道場に寄っても、ぃ、いいですか?」
「へ?」
「ぃ、いけま、せん、か?」
…おかしい
いつもなら近付くのすら躊躇うのに…
「やっやっぱり無理ですよね!ごめんなさい!」
気がつくと目の前から健司が消えていた。
………と思ったら腰を90度きっかしに曲げていた。
最初のコメントを投稿しよう!