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まず、ひしゃくの形をした北斗七星を北の夜空に探す。分かりやすいからすぐに見つかる。
北斗七星の取っ手部分を東に伸ばしていった先にオレンジ色の星。
これはうしかい座のアルクトゥルス。
ここからさらに伸ばしたところに、乙女座のスピカ。別名「真珠星」。
南の空を見上げて「?」マークを左右逆にした星の並びを見つければ、それはしし座の頭部分。「獅子の大鎌」。
獅子の胸で輝くのが1等星のレグルス。「獅子の心臓」。
レグルスよりも東にある星がデネボラ。「獅子の尾」。
アルクトゥルス、スピカ、デネボラを結べば、春の大三角形。
冬の夜空ほどじゃないけど、春の夜空だって賑やかだ。
「ニナイ、ニナイ、あの月のちょっと近くにある明るいやつ、何て星だ?」
「善司、星座早見盤にもそれらしいのが載ってないんだよ。シリウスかな?」
……うん、賑やかだ。
以前は僕一人でしていた天体観測に、遠藤君と眞柴君も時々加わるようになった。
遠藤長太郎君と、眞柴想一君。
僕、一三四善司(にないぜんじ)と同じ、東都防衛学院中等部2年2組の生徒だ。
中間試験が始まる前、遠藤君とこの屋上で話したことがある。
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