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ショーマス彗星が地球に接近するっていうニュースを聞いて、僕が天体観測していた時、ちょうど遠藤君がやってきて、僕が彗星と星座の話をしたら気に入ってくれたらしくてバッジをくれた。
学院の校章でもあるヤタガラスが描かれたバッジで、遠藤君の手作りらしい。
遠藤君の手描きらしいヤタガラスは、校章のヤタガラスと違って、へろへろのひょろひょろだけど、なんだか憎めない。
体つきがよくて運動神経も成績も抜群の遠藤君だから、迫力ある絵を描くのかと思っていたから、このヤタガラスは意外だった。
このバッジは、「ギキョウダイノチギリを交わしたにも等しい仲間の証」らしいんだけど、僕は未だに「ギキョウダイノチギリ」が何なのか分からずにいる。
……今さら聞けないから、今度、こっそり調べてみようと思いながら、調べるのを忘れてしまっているんだけど。
「でもよ眞柴、シリウスにしちゃ位置が高くね? ニナイ、ニナイ、あの明るい白い星、なんだ?」
遠藤君が夜空を指差す。
星座早見盤に載っていない、明るい星。
日々、規則正しく動いていく星々の中、フラフラと不規則な動きをする迷い子のような星。惑える星。惑星。
「たぶん、木星だと思う」
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