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僕の両親は防衛医大に行って、国家試験に合格して医師になったらしい。幹部自衛官だと聞いていたけど、どんな仕事なのか4年前の僕には想像つかなかった。
自衛隊は、何かあったときに戦争をするための軍隊で、人を傷つけるだけなんだと思っていたから。
自衛隊が人を助けることも出来るってことを、その中でも両親は命を救う医師だったってことを、僕はお父さんとお母さんがいなくなってから気付いたんだ。
……遅いよ。僕ってホントに、ダメだなぁ。
「うわっ、もうこんな時間だ。
善司、僕、まだ木星見てない」
腕時計を見たら、消灯まで後30分。
眞柴君がすがる子犬ような目で僕を見る。
「あ、ごめん、今、木星探すね」
僕は慌てて望遠鏡本体についているファインダーを覗いて木星を捉えた。
望遠鏡本体を覗くと、木星が見えた。
急いで眞柴君と交代する。
望遠鏡を覗き込んだ眞柴君が、
「凄い! モノリス、ディスカバリー、ボーマン、ハル! これでエウロパが見えたら言うことなしだよ!」
と遠藤君より興奮して叫んで、「お前もうるさいわ、しかも意味不明」と遠藤君に軽くお尻を蹴られていた。
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