誓約 ―oath―

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『―――て』  突然声が聞こえた、ような気がした。  しかし、眠るように瞼を閉じた彼女の口は、堅く閉ざされたままだ。周囲は人の気配すらない。  再び沈黙が空間を支配する。 だが、外界から外れ、時が止まってしまったようなこの世界に再び声が聞こえた。  今度こそ、確実に。囁くような、静かで美しく、そして儚い心の叫びが。 『助けて』  一筋の涙が少女の頬を濡らした。
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